メンバーインタビュー第11回は、元パティシエという異色の経歴をもつ内海悠(@うっちゃん/運営スタッフ )さんにお話を伺いました。まったく別の業界から映像制作を始められた内海さんが、独立してどのようにお仕事を広げられているのか、興味深いエピソードがたくさん。映像制作を仕事として広げていきたい方は必読のインタビューです。

内海悠
東京都在住。独学で映像制作を始めて、2020年独立。フリーランスのVG/PGに。
広告、WEBを中心に演出、撮影、編集を一貫して行う。映像をコミュニケーションツールとして汲み取り、新しい可能性を模索している。
https://yuutsumi.com/



パティシエから映像制作者に


——内海さんは元パティシエなんですね。

内海:そうですね。小さい頃からお菓子屋さんを目指していて、ケーキをつくるのも得意だったので専門学校に行きましたし、その道で生きていくつもりではあったんですよ。在学中にバイトしていた有名なお店に就職し、パティシエとして働きました。でも、働いている内にいろいろ不安がでてきたんです。労働時間は早朝から深夜まで。お菓子作りだけで利益をあげるのは至難の業なので、店をもった先輩たちもすごく大変そうでした。自分がもし将来独立したとして、この道でやっていけるのか、疑問が出てきてしまった。だから、とりあえず何も考えずに辞めてしまったんです。
今は映像一本で、パティシエつながりでお仕事をいただくこともあります。

お菓子×アートという、知らないジャンルの話も、映像でわかりやすく伝わってきます(スタッフ)。

——以前から動画制作はされていたんですか?

内海:いいえ、辞めたときは、趣味で写真を撮っていたぐらいでした。何しようみたいな感じだったんですけどで、その時にたまたま初心者動画クリエーターの映像コンペをネットでみつけたので、応募しました。カメラは一応持っていたので、応募が100人弱あったそうなんですが、事前に選考があって、最終的な5人に選ばれたんです。

——すごい倍率ですね!

内海:たまたまその倍率で選ばれて、1泊2日で栃木県の日立市に行って撮影して編集して、翌日の午後にはその市長さんに見てもらって、めちゃめちゃ弾丸でした。撮り方もまだわからないのにぐらいのに。

——それは、プロでもなかなかハードなスケジュールのような気が……。

内海:しんどかったですね。寝られなかったです。まだ、これができるとかできないっていう感覚もなかったので、「映像って1泊2日でできるんだ〜」みたいな感じで行ったら、全然できなくて(笑)。でも、コンペでは一応順位付けがあって、ありがたいことに最優秀賞をいただきました。今振り返ると、ノイズが出て画面がザラザラだったり、なんにも知らずにつくっていたんですけど、自分なりに構成を考えて作ったのが最終的に好評で……伝えたい内容が伝わっていたのがすごく嬉しかったので、映像を始める大きなきっかけになりました。
きっかけとなったコンペの作品。コンセプトに、全体の夢のようなやさしい色味がマッチして、今すぐに日立市に行きたくなりました。これを1泊2日で完成させるとは超ハードスケジュール!(スタッフ)




さまざまな業界を盛り上げるために


——そこからお仕事にはどうやってつなげていったのでしょうか。

内海:現実的な話で言うと、やっぱり最初は仕事もお金もなかったです。サロンにも入っていなかったし、コミュニティもなかったので、最初はインスタのDMで、美容院やカフェに連絡をとって、「まだ駆け出しなんですけど、よかったら映像を撮らせてください」とおくりました。

——SNSでの飛び込み営業ですね。すごい行動力……!

内海:ありがたいことに、そこで何件か撮らせていただくことができて、実績ができたので、今の仕事につながっています。並行してYouTubeでチュートリアルをみたり、アシスタントに入らせてもらったり、映像の勉強自体も独学で続けました。
今は、企業様向けのWEB動画コンテンツや、WEB CMなどを中心に撮影させていただくことが多いです。

——今後のばしていきたい方向はありますか?

内海:もともとパティシエだったので、パティシエ業界を盛り上げるような動画コンテンツをつくりたいなという気持ちは強いです。有名なパティシエさん同士の会談動画や、経営面や、考え方が伝わるようなコンテンツをYouTubeにあげて、それをコンテンツ化できたらとも思います。業界の中ではまだそういったコンテンツって少ないので。パティシエって、お菓子だけだとなかなか利益が上がらないんです。パティシエを辞めたといっても、業界自体には関わり続けたいし、盛り上げていきたいとは思っていますね。
ほかには、建築専門の映像制作チームを立ち上げたんですよ。

——建築ですか?    またまったくちがう業界ですね。

内海:建築家の知り合いの方と進めているんですけど、建築ってやっぱまだ写真がメインなんですよね。施工写真って言われるようなものがほとんどで、奥行き感など映像と比べると伝わりづらい部分も多い。例えば、写真って前に進むことはできないけど、映像だったら広さや空気感も伝わるじゃないですか。その場の環境音も拾えるし、より感覚をイメージしやすいと思うんです。

——建築家の方のポートフォリオ代わりにもなりますもんね。

内海:そうですね、建物だけじゃなくて、そこでどういう暮らしができるか、どういう体験ができるのかをイメージしてもらえるような、新しい伝え方を模索しています。自分にとっては、映像ってあくまで見てくれる人とのコミュニケーションの手段のひとつなんです。

施工動画。空気感が伝わってきます(スタッフ)。

映像制作を「目的」にしない


——パティシエ、建築など、さまざまな業界の方と、映像をからめてお仕事されているように感じます。映像をつくる上で大切にされていることはなんですか。

内海:映像を作ることが目的じゃないんです。認知を広めたり、利益を出したりすることが目的で、映像はあくまで、目的を達成するための手段だと考えています。
別に映像じゃなくていいようなご依頼もあるんですよ。写真やテキストのほうが適していることもあるので、その場合はきちんとお伝えします。

——広告系の映像では、そこが何より大切ですよね。マーケターの視座もお持ちなんだなと感じます。

内海:こんなことを言ったら顰蹙を買うかもしれませんけど……正直、ものごとが伝われば機材なんて何でもいいと思っているんです。もちろん、質の高い映像をつくりたいという前提はありますけど、場合によってはiPhoneで撮影した方が効果的な場合だってある。映像そのもののクオリティを追求するというよりも、最終的な成果を考えながら制作しています。
自分は代理店をはさまずに直でやり取りすることが多いので、映像の目的や、誰に向けて作るのかっていう部分が定まっていないお話をいただくことが多いんです。
ただなんとなく「つくってください」という依頼に応じてしまうと、目的のわからない映像ができてしまう。小規模の事業者さんだと、そもそも、そのあたりをまとめるリソースが社内で確保できないから依頼ができないっていうお話もうかがいます。
だから資料をつくって、目的、使い途、媒体を確認して、尺やサイズを決めて……というのを大切にしています。事前に話し合って、共有して、全部固めてから始めます。

——ヒアリングがすごく丁寧ですね。映像をつくる前から、目的の共有を大切にされているんだなと感じます。

内海:映像の技術以上に、コミュニケーションが大切だと思っているんですよ。
結局どこを目指すべきなのか、お客さまも話しながら目的をまとめられるし、こっちも頭の中を整理ができるんです。



AOI Film Craft Lab.から実務を学ぶ


——AOI Film Craft Lab.に加入されたきっかけを教えてください。

内海:友人が立ち上げに関わっていたんです。ガチガチの映像制作会社がコミュニティーを作るっていうのは、初めてだったので、なんか、より現場に近いようなお話を聞けるんじゃないかと思って入会しました。

——入ってみて役に立ったことはありますか?

内海:登壇される方が現場の第一線で働いてる方ばかりなので、技術はもちろんなんですけど、資料の作り方や物事の伝え方、クライアントとのやり取りを詳しく教えていただける。実践的で、勉強になっていますね。ただただ「映像を綺麗に撮ろう」っていうことだけを追求したコミュニティだと、絶対に見えてこない部分なので。

——現場重視なのは、アオイラボ特有かもしれませんね。

内海:技術メインのセミナーは他のところにもあるんですけど、アオイラボでは技術以上の実務が学べるのが有難いです。たとえば、実際の企画書を見せていただいた上で、企画書の書き方を学べるって、他にはないとても貴重なセミナーだと思います。
それまでは独学だったんですけど、現場の方の書類を見ると「ここまで細かく資料を組み立てているんだな」って勉強になりますね。あとは、使い慣れない単語がでてきたり……映像業界特有の言葉も知ることができますね。

——たしかに、業界によって言い回しって違いますよね。

内海:映像の業界から出てきてるわけではないので、やっぱり映像の繋がりっていうのが少ないんですよね。なので、アオイラボを通して、同じ志を持った人たちと繋がれたらいいなと思っています。

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「離れ業」のようなキャリア転換を成し遂げ、さまざまな業界を映像で盛り上げている内海さん。インタビュー中も、丁寧かつ誠実にお話をしてくださったので、クライアントの立場を想像しても、ほんとうに信頼して映像制作をお任せできる人だなと感じました。
これからもさまざまな業界を、映像というコミュニケーションツールで盛り上げていってください。



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