みなさん「MV塾」ってご存じですか?    MV塾とは、AOI Film Craft Lab.がアーティストとメンバーをマッチングし、AOI Pro.プロデューサーのバックアップの元、ミュージックビデオを制作するプロジェクトです。メンバーで企画から撮影編集まで行い、完成作品は実際に世の中に発表されます。今回はMV塾に参加し、最多再生回数を記録した高野さんにインタビューしました。

高野瑛人
大学3年生。ショートフィルムやMVなどを制作。初監督したMV「今日もわたしが冴え渡る」がMV塾最多再生回数を獲得。


とにかく行動で突破


——高野さんはフリーランスの映像監督として活動されているんですね。

高野:仕事もしていますが、一応大学3年生です。映画を専攻する大学に通っています。映画学科って名前ではありますけど、映画のみならず、CMやMV、メディアートを全般的に学ぶことができます。
でも、実はもともと理系の大学にいたんですよ。コロナ禍で自分の進路を見直したときに、やっぱりミュージックビデオがつくってみたいなって思って、進路を考え直したんです。
大学1年生のとき、制作会社さんを調べて「こういう制作をやってみたいんですけど、理系の大学生なんです。やらせてください」って言って、50社ぐらい電話しました。

——50社!?

高野:考えたら当たり前なんですけど、募集はほとんどないので、とりあえず窓口が公開されているところにはすべてあたってみました。まぁ、そもそも大学生を受け入れてないとか、受け入れていたとしても芸術系の大学生しか受け入れてないとかで、どこも断られちゃったんですけどね。

——行動力に感服します……!

高野:そのあとコロナが続いて、一度休学しました。休学中はヒップホップのミュージックビデオを観ていたんですけど、一番好きなミュージックビデオの監督さんがTwitterをやられていたんでDMを送りました。僕は理系の大学生なんですけど、映像を始めたくて、アルバイトは電話で断られて、こういう場合ってどう始めるのがいいと思いますか……というようなことを聞いてみたんですよ。

—DMで!?

高野:はい。ものすごく親切な方で、毎週日曜日の午前中に2時間時間をとって、色々教えて下さったんです。制作の人が2時間も時間とってくれるって、今思えばすごい話なんですよね。「コンテはこうやって書けばいいよ」とか、色々なことを教えていただきました。
そうやって教わりながら、なんか簡単なMVのパクリみたいなものをつくるところからはじめました。友達にダンサーがいたので、既存のJ-POPでダンスをしてもらったのをカメラで追って練習したりもしましたね。そのときはジンバルなんて知らないので、今思えばガタガタだし、手持ちで撮っていたんですけど、そうやって学びつつ、結局今の映像系の大学に編入したんです。

初めてのMVが最多視聴回数を獲得 


——前回の「MV塾」で高野さんが監督されたアップアップガールズ(仮)の「今日もわたしが冴え渡る」拝見しました!    王道ドストレートの制服ダンス、さわやかで、可愛い表情がたくさん見られて最高ですね。最多視聴回数獲得おめでとうございます。

高野:ありがとうございます。ぼくはアイドルのMVなら相当な数を観ていると思うので、今回の曲にはどんなものがあうか、しっかりこだわりました。
アプガって実は制服をあんま着た映像がないから、ドストレートでもいいんじゃないかって思ったんですけど、そうなると場所が学校になる。でも、「青春」だし、個人的に何か青い景色、青い空とか青い海とかを入れたかったんです。そうすると、青い空が映えるのは屋上かなあって。制作の方に無理をいってお願いして、近くの学校を探していただきました。

——青春の雰囲気がバシバシ伝わりました。実際に参加されて、どうでしたか。

高野:スタッフや周りの方にたくさん助けていただいたんですけど、それでも自分で考えることが思ったより多くて……ああ、こんな仕組みでやるんだなと実感しましたね。
何よりMV塾で厳しかったのは、撮影時間が2時間しかなかったことです。

——え!?    あのMV、2時間で撮影しているんですか?

高野:そうなんですよ。2時間って制限の中でいろんなこと考えて、カメラは何を使ったりすればいいのかな、とか、細かいところもセッティングしなきゃいけなくて、それはちょっと厳しかったんですけど、でもそれが結構な経験値になりました。
この間仕事で行った撮影も、「明後日撮影日なんで来てください」って言われて、遠方まで行ったんですけど、かなり忙しいスケジュールだったんですよ。でも、MV塾の経験があったので、あまり焦らずに対応できました。

——現場での対応力がつきますね。ちなみに事前準備はどうでしたか?

高野:1週間前ぐらいにこの曲でお願いします、というのが決まって、大体のテーマを決めて、場所をおさえてもらって……やることがたくさんあって、毎日夜まで準備していました。他のチームの人に連絡して、この時間だけちょこっと貸してくださいとか、やりとりしました。前日にロケハンもしたんですけど、夜なのであまりわからなかったんですよ。
でも、たまたまそこの学校で撮影された映像を観たことがあったんです。昔からの癖なんですけど、MVやCMを観ていると、景色とかから大体場所を特定できるんですよ。なので、この学校はこういう構造でこういう角で取れたらいけるかなっていうのを、頭の中で想像しながら計画を立てました。

——普段から意識しているからこそできることですね。参加する前と後で起きた意識の変化や発見があれば、教えてください。

高野:1番でかいのは、「自分がMVを監督したことがあるかないか」っていうこと。ゼロがイチに変わったんです。今なら「MVを撮ったことがあります」と言えますから。

アプガ2作目!


——今は2作目を制作されていると伺いました。

高野:あと3日で撮影なので、今はドタバタですね。連絡がついてつかなかったりとか、これでいいのかどうかとか。常にスタッフさんと電話でやり取りして、打ち合わせして、中身を詰めています。
ラボのスタッフの方が本当に密にサポートしてくださるので、助かっています。

——今回の舞台は?

高野:いろいろあって、白ホリになりました。

——なるほど……まったく想像がつきません!(笑)完成が楽しみです。2作目のほかに、今後挑戦したいこと、目指したいものはありますか。

高野:今、学校で、3年生と4年生で映画を1本ずつ提出することになっています。映画は初挑戦なので、学校ではそちらをがんばりたいですね。学校外だと、やはりMVを中心に経験を積んでいきたいです。将来はもちろんディレクターになりたいんですけど、制作とか下積みが必要かなと思ったり……なんか個人的な考え方としては、自分でカメラを持つことによって、フレームとか絵を決めてくっていうのが勉強だと思っています。ファインダーでもモニターでも、絵を決める経験はすごく重要だなって感じます。
あとは、アイドルでも、メイキングがついてくるじゃないですか。あれを何十回も見て、ちょろっと映るカメラの動きを見て、この映像はこうやって取られてんだっていう。
勉強をしているんです。自分でカメラを持ちつつ、MVが撮れたら最高かなと思ってるんですよ。たくさん映画を見て勉強しつつ、より良い作品ができるようにしていきたいです。

インタビュー時は撮影前だったのアップアップガールズ(仮)の「プールサイドモンスター ~常夏編~」。
白ホリだからこそ映えるカラフルでポップなアニメーションとが抜群にキュート。プールサイドなのに白ホリ?    と思っていたのですが、浮き輪からのぞくような構図のカットに「そうきたか!」と、思わず声がでました。(スタッフ)

モチベーションを生むアオイラボ

——ちなみにAOI Film Crift Lab.はどんなきっかけで入られたんですか?    また、どんな風に活用されてますか?

高野:インターネットで見つけて入りました。オンラインサロンって、流行り始めた時期には、あんまりよくないことをしているところもあったじゃないですか。でも、アオイラボなら業界大手のAOI Pro.がやってるし、入ってみようかなって。映像系の大学に入っても、自主制作とかをしている人があんまりいなかったんですよね。映画系の学校に行ってなくても、積極的に作ってる人たちとコミュニケーションが取れたらいいなって思いもあって入りました。
作品がつくりたいっていう人も、就活で入ってくる人もいて、いろんな出会いがあるから面白いんですよ。作品を作るモチベーションになっていると思います。

——出会いがモチベーションを生むことってありますよね。

高野:そうですね。あと、ぼくはMVがつくりたいんですけど、アーティストさんとうまくつながれたことがなかったので、作品づくりにもラボという場を利用させていただいています。MV塾はもちろんですけど、アオイラボからのつながりで別のMVを1作監督させてもらう機会もあったんですよ。ここ1年ぐらい、お付き合いさせていただいてる方から、ちょっとやってみないって声をかけていただいて……つながりを築けているのがありがたいです。

美しくて爽やかな海の景色が、伸びやかなボーカルにぴったりのMVです。メンバーの方の自然な表情が魅力的。聴き手に寄り添うようようなこの楽曲のよさが、MVによってより引き出されているように感じます。(スタッフ)。

——MV塾はまさに高野さん向けの企画でしたね。

高野:そうですね、一番やりたいことだったので、これは参加するしかないって思いましたね。あとはやっぱり、制作現場を経験できることが大きい。初めて現場を経験したときの感覚はまだ覚えているんですけど、制作の人がどれぐらいすごいかって実感しましたね。忙しさも流れも、やっぱりやってみないとわからない。
経験を積むことで、将来自分が大学卒業したときどういう職業につけるのか、見極めることができると思っています。

AOI Film Craft Lab.をフル活用して、着々と作品を発表されている高野さん。
制作を続ける中で、おそろしいスピードで進化されているのを感じます。
次の作品も楽しみにしています。

メンバーインタビュー希望者、募集中!
発信したいことがある方、共有したいことがある方、ちょっと変わった人生を送ってきたと自負している方もそうでない方も、ぜひお話を聞かせてください。