メンバーインタビュー第14回は、映像制作チーム “GRAPHIX”で精力的に活躍されている桑田吏功(@Riku )さんにインタビュー。AOI Film Craft Lab.でのイベントや現場体験を経て、趣味で始めた映像制作を職業にされた桑田さん。2020年に映像を始められてからさまざまな実績を積み、今ではメジャーなアーティストのMV撮影にも携わられています。チームとしての活動について、そして最近担当されたDef TechのMV「Save Me Tonight」の撮影についてお話をうかがいました。

​桑田 吏功
2000年生まれ。早稲田大学国際教養学部に在学中。
2020年のコロナ自粛期間に映像を始め、現在はGRAPHIXで監督、撮影監督やカラリストなど複数の役職を兼任。幼稚園から高校卒業まで4つのインターナショナルスクールを巡り、多種多様な文化に触れる。
GRAPHIX https://www.graphixproduction.net/


映像制作チーム『GRAPHIX』 で活動


——桑田さんは今大学生なんですね。

桑田:大学生ではあるんですけど、もうすぐ卒業なので、フリーランスでの制作に力を注いでいます。今は "GRAPHIX"というチームで活動しています。


——WEBサイト、めちゃめちゃかっこいいです。チームのメンバーとはどこでであったんですか?

桑田:最初は、ここにいる山本と、もうひとりと、3人で趣味として映像制作を始めたんですよ。Vlogを撮って旅の記録を残しているうちに楽しくなって、もっとつくりたくなって、家の近くのカフェなど、いろんな飲食店に「宣伝映像をつくりませんか?」と営業をかけるようになりました。もうここには載せたくもない黒歴史みたいな映像もたくさんつくりましたよ(笑)。機材も最初はiPhoneで、そのあと貯金全部崩して一眼レフとレンズを1本買って。そこから少しずつ増やしていきました。

——はじまりはVlogだったんですね。

桑田:でも一緒にVlogを撮っていた3人のうち、ひとりはイギリスの大学に通っていて、もうひとりもカナダの大学に通っていたんですよ。ふたりとも、コロナで一時帰国していただけだったんです。ふたりがそれぞれ大学に戻ってから、日本にいるのは僕ひとりになってしまった。どうしようと思っていたとき、AOI Film Craft Lab.で『アプガヤバい』っていう1日6本MVを撮る企画があったので、参加を決めました。

桑田:
今のチームメンバーである長谷川と渡辺とはMV塾で出会いました。
そこで再スタートをきって、今ではメンバーが8人います。それぞれフリーランスで活動していて、自分たちでも稼げているので、今年は法人化するつもりです。

——応援しています!    チームとしての強みを教えてください。

桑田:チームに所属しているのはディレクターが圧倒的に多いんですけど、それぞれのディレクターがカメラや脚本、照明といった、プラスアルファの技術をもっています。だいたいの案件は、うちのチームで丸ごと受けられますね。
“GRAPHIXという”チーム名は、英語の“GRAPHICS”の “CS”を “X”に変えることで、「様々な才能が交差する」という意味を込めています。メンバーそれぞれの強みをかけあわせて、いい作品をつくっていきたいと思います。

——ジャンルとしては、どんな映像を撮ることが多いんですか?

桑田:今のところは音楽系の仕事が多く、ミュージックビデオをよく撮影します。ライブを撮ることもありますし、藤井風さんのメイキングを撮ったこともあります。ミュージックビデオにやりがいを感じているメンバーが多いです。個人としては撮影部で制作に携わることが多いですね。

——Def TechのMVも撮影されていましたよね。そのお話はあとで詳しくおうかがいします。桑田さん自身は、チームで活動しているよさをどんなところに感じますか?

桑田:チームメンバーが同世代なので、刺激がありますね。チームの中で誰かがでかい案件を持ってきたとか、誰かがすごいメジャーアーティストの案件に携わったと聞くと、自分も頑張らないと、と思います。切磋琢磨できる環境だと思うので、ありがたいです。

——これからの展望を教えて下さい。

桑田:人と人との関係がみえるような作品が好きなので、個人的にはそういうストーリーものにも挑戦したいですね。チームとしては、それぞれのクリエイティビティを発揮した映像をつくっていければと思います。
ちなみに現在GRAPHIXでは、若くてやる気のある照明技師、美術部、制作部、グラフィックデザイナーの学生を募集しています。アオイラボのメンバーの方も、興味あればぜひご連絡ください。

現場体験からつながった仕事


——アオイラボにはいつごろ加入されたんですか?

桑田:アオイラボに所属したのはかなり初期だと思います。今はアオイラボで出会った人と仕事をさせていただくことも多いです。
最初のころ、自分に実績がなかったので、現場体験に行ったんですよ。そうしたらそこで、「1週間後にVaundyの『泣き地蔵』のMV撮影があるから見学に来る?」って声をかけていただいたんです。もちろん見学なのでノーギャラですけど、「行きます!」って即答しました。そうやって、次の現場につながって、実地で勉強させてもらいました。
「スタンドイン」なんて単語も知らない状態でしたけど、現場でスタンドインに入って、そこで現場のプロデューサーさんとお話しさせていただいて、仲良くなって……出会った方とつながって、お仕事をいただいていますね。

——アオイラボで、印象に残っているイベントがあれば教えて下さい。

桑田:色々ですけど、さきほどお話したMV塾は大きかったと思います。実は、MV塾で出来上がったMVの6本中4本は、ぼくがカメラで入っていたんです。プロデューサーの方も、ぼくがカメラを回していたのを見てくださったんじゃないかな、と思っています。

——今、実際にご自身でお仕事をされていて、アオイラボでの経験が役にたったと感じることはありますか。

桑田:ちょっとしたことですけど、撮影現場での専門用語は現場に行かないとわからなかったなと思います。たとえば、"黒パー(黒いパーマセルテープ)"って言われても、何のことかわからなかったですけど、現場体験では実物を使いながら学ぶことができますよね。
制作について最低限の知識を得るのにも、アオイラボは最適だったと感じています。

Def Tech 「Save Me Tonight」の撮影


——Def Tech「Save Me Tonight」のMV撮影で入られていますよね。シネマトグラファーとして意識したことがあれば教えて下さい。


桑田:今回はただのミュージックビデオじゃなくて、愛媛県とのコラボだったんです。愛媛の絶景を映す、愛媛の魅力を伝えるってコンセプトもあったので、なるべくワイドレンズを使って景色が映る範囲を増やすような意識はしました。寄りのカットもレンズで寄るのではなくて引きのレンズを使いました。

——画のイメージや構想は、どうやってつくられたんでしょうか。   

桑田:監督の荻さんがレファレンスをくださったので、そのイメージに近づけようと思ってて考えましたね。ロケハンでは日の位置なども入念にチェックして、何時にどのシーンを撮るかを綿密に計画しました。

——外ならではの難しさがありますね。

桑田:撮影部のアシスタントがいれられなかったので、実質ひとりで撮ったんですよ。スーツケース2個とリュックと三脚を持って愛媛に行きました。
監督からハンディがいいと聞いていたので、カメラをショルダーにのせて、片手でフォーカス回して動いて……大変でしたね。

——ひとりで運用とは、体力も筋力もいりそうです……計画通りに撮影を終えることはできたんですか?

桑田:実は、冒頭の霧のシーンは、計画とはちがっていたんですよ。ロケハンのときは完全に晴天だったので、まさか撮影当日にこんなに濃い霧が出るとは思いもしなくて。ロケーションを変えようかという案も出たのですが、話し合ってそのまま撮ることになりました。

——すごく印象的かつ美しい場面なので、視聴者としては「霧の日を狙ったんだろうな」と思いこんでいました……。霧になったら撮り方も、計画しているものとは変わりますよね。

桑田:そうですね。ここは全部アドリブで撮っています。

——そこにいたのが自分だと想像すると、おそろしいです!

桑田:まぁ予想外でしたけど、結果的にいい画が撮れたのでよかったなと思っています。

——度胸が求められますね。Vlog、現場体験、MV塾と、短い間に多くを積みかさねて、実力を積んでこられたんだなと感じます。

桑田:MV塾で、初めてちゃんとしたミュージックビデオを撮ったときは、演者さんに話しかけるだけでも緊張で震えてたんですよ。でも、アオイラボやアオイラボのつながりを通して場数をふませていただいて、Def Techさんのようなメジャーアーティストの撮影でも自信を持って望めるようになったっていうのはあると思います。

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新進気鋭のチーム、GRAPHIXと桑田さんの、これからの活躍に期待しています!    インタビュー中でもご紹介しましたが、今GRAPHIXでは若くてやる気のある照明技師、美術部、制作部、グラフィックデザイナーの学生さんを募集されているそうです。音楽分野の映像に興味がある方、仲間を探している方、新しい挑戦がしたい方、ぜひ桑田さんに連絡してみてくださいね。

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