メンバーインタビューが不定期で復活しました!    第18回は、長野県安曇野市を拠点に地上波のテレビ番組や、企業CMなどを制作している@永田 太郎 さんにインタビュー。初監督映画『お揃いのコーヒーカップを。』は、2023年の宮古島国際映画祭で公式作品に選出 され、最優秀主演女優賞も受賞しています。永田さんはAOI Film Craft Lab.をどのように活用されているのでしょうか?

永田 太郎
長野県安曇野市を拠点とする映像ディレクター。
企業CM、広告映像、地上波TV番組などを多数制作
宮古島国際映画祭2023最優秀主演女優賞受賞作『お揃いのコーヒーカップを。』監督。


公務員からYouTube、YouTubeからテレビへ

——テレビ番組やCM制作の実績を拝見しました。もともとテレビ局のお仕事をされていたんですか?

永田: いえ、もともとは公務員だったんです。

——えっ、公務員!

永田: そうなんですよ。惰性で続けてしまったといいますか、自分の人生をまだ自分で選択できていなかったといいますか……そんなとき、定番ですけどHIKAKINさんなどのYouTubeチャンネルを観て、自由さに憧れたんです。自分のチャンネルをつくって、仕事を辞めて半年間チャレンジすることに決めました。

——YouTubeと、今やられているテレビ番組やCMなどのお仕事は、同じ映像制作とはいってもかなり分野がちがうように思うのですが、どんな経緯で今のお仕事に移行されたんでしょうか。

永田: YouTubeは、半年で100本以上の動画をあげても登録者数が200人くらいで止まってしまい、公務員時代に稼いだ貯金も尽きてきてしまいました。「ヤバい」と思ってバイトもしましたが、バイトでは生きてけない。何か手に職が欲しいと思って探していたら、地元安曇野市のケーブルテレビ局が求人を出していたんです。ありがたいことに採用していただいて、3年間正社員として働きました。
ケーブルテレビで色々な番組の制作に携わる中で、他局のプロデューサーの方から地上波のテレビ番組の制作依頼もいただくようになりました。並行して、広告の方でもお仕事をいただけるようになったんです。


——正社員として働きながら、ご自身の制作活動も続けてらっしゃったんですか。

永田: そうですね。個人でも勉強も兼ねて制作依頼を受けていました。
タレントさんのYouTubeチャンネルなども続けて制作していました。

学習、仲間集め、実績づくり、1on1ミーティングまでフル活用。


——アオイラボに加入された理由を教えてください。

永田: 最初はたぶん、WEBの広告です。今長野県を拠点としているのですが、やっぱりこの地元で学べないようなことが学べるのではないかと思ったんです。自分をレベルアップさせるには第一線に触れたいと思って、加入を決めました。

——具体的にはどのように活用されてますか?

永田: もう加入して2〜3年経つんですが、はじめのころは講義を中心に活用していましたね。演出企画、編集、カラーグレーディングなど、いろいろな講義をすべてオンラインで受講して、勉強しました。
そのあとは、制作の仲間集めに活用しています。『お揃いのコーヒーカップを。』のメイク、照明のスタッフの方もアオイラボで知り合いました。
作品撮りの機会もいただいています。レプロエンタテインメントの新人のモデルさんを撮らせていただいたり、別作品のメイキングを撮らせていただいたり。


——先日は1on1ミーティングもされていましたよね。

永田: はい、今回が3回目です。プロデューサーの最首さんに1回、大石監督に2回お願いしました。

——1on1ミーティングも複数回活用されているんですね。どういうときにミーティングを申し込むんでしょうか?

永田: 大きくいうと、キャリアの途中で行き詰まってしまったように感じたときに、ミーティングをお願いしています。先日は、自分がちょっと伸び悩んでいる状態を打開したくてミーティングをお願いしました。東京である程度大きな規模の作品を撮れるようになりたいと思っているのですが、そこまでの距離感を教えていただきたかった。自分でも整理したかったんです。
……何ていうんですかね、長野県内でたくさんお仕事をいただけるようになって、正直ちょっと調子に乗っていたんですよ。今回はそんな自分を打ちのめしてもらいいました。

——それは非常に気になります。……辛口だったんでしょうか?

永田:最初に大石さんが「どのぐらいの温度感で言ってほしいですか」ときいてくださったので、「100%で」とお願いしました。正直、翌日の午前中は寝込みましたよ(笑)。
でも、ほんとうにありがたかったです。このミーティングがなかったら、どんどんレベルが下がっていたかもしれません。

——キャリアにおける起爆剤としても、アオイラボを活用されているんですね。

初監督映画『お揃いのコーヒーカップを。』

——初監督映画が、宮古島国際映画祭で主演女優賞を受賞されたそうですね。おめでとうございます!

永田: ありがとうございます。主演の平岡亜紀さんがほんとうにすばらしいお芝居をしてくださいました。

——広告と映画、また分野がちがうかと思いますが、本作をつくりはじめたきっかけがあれば教えてください。

永田: そもそも動画を制作しているというモチベーションとして、自分の思い描く世界を作れる、というのがありました。その最たるものとして、このあたりで1本フィクション映画を作ってみたいと思って挑戦したんです。

——制作はどうやって進めていったのですか。

永田: 作品自体は、インターネットで見つけた脚本が元になっています。原作者の方にご連絡して確認をとり、脚色をくわえ、オリジナルのストーリーをつくりました。長野県内で活動されているタレントの成美さんがプロデューサーをしてくださり、スポンサーを集めてくださいました。

——まだ公開されていないかと思いますが、どんなお話なのか教えてください。

永田: 1杯のコーヒーをきっかけに、親子のすれちがいが解けていくのを描いた映画です。主人公は色んな夢をもちながら過ごしている女の子で、父子家庭で育っています。でも、いざ高校を出るタイミングで、お父さんと意見がわれてしまう。夢に向かいたい女の子と、堅実に生きて幸せになってほしいお父さん。子どもだったころの、ぼく自身の経験も取り入れました。今は、自分にも子どもがいるので、親側の視点もよくわかるようになりました。親が子どもに願う幸せって、押しつけですよね。でも、愛でもある。

——純喫茶で撮影されたという記事も拝見しています。とても雰囲気のある場所ですね。上映会の予定はありますか?

永田: 直近では、9月2日に、長野県の南箕輪村で上映会を行います。最終的にはYouTubeで公開するつもりです。

——楽しみにしています!



かかわった人が幸せになるような仕事を

——漠然とした質問になってしまうのですが、実際に撮ってみていかがでしたか?

永田: 楽しかったですね。純粋に。やっぱり自分の思い描いた世界が1本の動画として見れるようになったということが、本当に嬉しくて楽しかったです。
学びもありました。20人くらいのクルーで協力して作ったんですけど、日常で自分が視聴者として目にする、誰もが知ってるような作品って、すごく膨大な予算と、膨大な経験と、膨大な手間がかけられているんだなってことが、よりはっきりとわかるようになりました。
憧れの作品までの道のりの長さも感じましたね。

——これからどんな作品を撮っていきたいですか?

永田: 前提として、ぼくは、人が殺されるシーンや、とんでもない暴力シーンは、苦手なんです。ショッキングな映像に頼らなくても、やさしいタッチで、ちょっとした心情の変化の動きを丁寧に描いて、観ている人に響くような——そんな作品をつくりたいです。目標としているのは、『マイ・インターン』のナンシー・マイヤーズ監督ですね。あの方のジョークやテンポ感も大好きです。
ちなみに、今年から来年の頭にかけてもう2本映画を撮ることになっています。

——2本!    すごいですね。

永田: ひとつは撮影監督、もうひとつは監督として制作に携わります。1本は事実を元にしていて、2019年の長野県の豪雨災害のとき、住民の命を救った消防団員の活躍を描きます。もうひとつは、内容も含めてまだこれからですね。
映画という世界をこれからもっと体感して、レベルアップしていきたいと思います。

——長野を拠点に活動されていらっしゃいますが、生活と、これからのお仕事について、これからの展望を教えてください。

永田: 長野はいいところですし、子育てのことを考えても住環境は最高です。でも仕事は東京にも進出したい。
広告の仕事の目標としては、東京で大きい規模のCMを撮りたいと思っているんです。大勢の人に見ていただける仕事にチャレンジしたい。地方だけで仕事をしていると、どうしても視座がかたまってしまって、レベルが伸び悩んでしまうんです。東京と長野を行ったり来たりしながら、この仕事を続けていきたいですね。メンバーのみなさん、ぜひ現場に呼んでください。交通費はいりませんので、とにかくご一緒したいです。

——さまざまな場所、分野の映像を撮られている永田さんが、ディレクターとして一番大切にされていることを教えてください。

永田: とにかく、柔和にっていうことです。ピリピリさせるようなことはないようにしてます。「これだ」って突き進むというよりは、関わってくださった方の意見を聞いて、調整していくようなタイプです。もちろんこだわりはありますけど、かかわってくださったみなさんが笑顔になり、長期的な意味で幸せになるような仕事をしていきたいですね。

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YouTube、TV番組、広告映像、映画……長野を拠点にさまざまな分野でお仕事を続けられている永田さん、現在地をみきわめながら、目標へと進む姿に、わたしも背筋がのびる思いでした。
ちなみに永田さんは最近、これまで積み上げてこられたノウハウを元に、映像のTipsについてのYouTubeチャンネルを始められたそうです。チャンネル開設4ヵ月で、登録者数はすでに1200人を突破されているようす……!    ぜひチェックしてください!

▼映像とまと
https://www.youtube.com/@eizo_momato